【協会】旅のあれこれ『サーモンキングダム北海道』



■ 旅、時々ユースホステル~旅やユースホステルに関するエッセイ~

旅のあれこれ『サーモンキングダム北海道』

我々の住んでいるこの世界は、
サイクルによって成り立っているといわれております。
生き物が生まれ、育ち、食べ、死んでいく。
その一つ一つが次の命の糧になり、生命が続いていく。

普段都会に暮らしているとぼやけてしまうけど、
確かにそこに存在する。
そんな生命のサイクルを感じた旅のお話。

10月の頭に長いお休みを頂き、
未踏の地北海道に行ってまいりました。

到着してから知ったのですが10月の初旬は、なんと鮭の産卵期。
2年もの間大海で栄養を蓄えた鮭たちが、
故郷の川に子孫を残すために殺到する季節だったのです。



今さら何をと言われるかも知れないのですが、
この魚たち物凄く美味いんですよね。
弱肉強食の試される大地、北海道。
クマやキツネ、小動物から鳥たちまで
ありとあらゆる動物たちが遡上してくる鮭を狙って水辺に集まります。

この鮭たち、なんとなく険しい自然の中にしか
帰ってこないと思いがちですが、
そこが生まれた川であればゴリゴリ護岸された川にも帰ってきます。



ホントに他にもうちょい空いてるとこあったんじゃないか?
というぐらいの密集し具合です。
時折鳥が急降下襲撃をかけており、
水面がカオスなことになっておりました。





現地の方曰く、北海道の豊かな自然は
この鮭たちを中心に回っているといっても
良いほど重要なものらしいです。

鮭を食べる動物たちという直接的なものはもちろん、
動物たちの排泄物を通して野に、産卵を終えた亡骸を通して
川に海にと栄養分をもたらしているとのこと。
なるほど、これは面白い時期に来れたものだなと思いました。

無論、人間も例外ではありません。
間もなく冬を迎える北の大地に住む人たちも、
にわかに色めき立っておりました。
実は、人間は川に上がって来た鮭を捕ることはできません。
水産資源保護の観点から禁止されておりまして、
摘発されれば一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金とのこと。
なかなかの重罰です。

自然、北の男たちは海へ向かいます。
海釣りならOKで、遡上にエネルギーを使う前なので美味いらしいのです。
長い海岸線は、数多の釣り竿で埋まっておりました。





立ち寄ったホームセンターにも、鮭用品がずらり。

釣り用具や疑似餌、仕掛けなどはもちろん



釣った鮭を入れるスチロール箱



包装用紙



暴れる鮭を沈黙させる用のバット
(「沈黙」の意味はお察しください)

などなど、釣った鮭を食卓に乗せるまでの
ありとあらゆるアイテムが揃います。
売上の何%かは鮭用品かと思われます。

釣りはあくまで個人のレジャーの範囲なので、
釣れたらラッキーぐらいでやっている印象でした。

ちなみに、人間が本気を出すとこんなことになります。



鮭!



鮭!!



鮭!!!

こんなに採ってしまっては、今年中に
鮭が絶滅してしまうのではないだろうか…。
そんな心配が生まれてくるレベルの大漁ぶり。

知床のウトロ漁港という場所で見たのですが、
ここ10年程空前絶後の大漁が続いているのだとか。
若い漁師さんも集まってきているらしく、
街は活気に満ちているそうです。

ただ、北海道全体では年々漁獲量が減っていることや、
温暖化の影響か以前は見られなかった
ブリなどの魚も入ってきていることも教えてもらいました。

機械的に運ばれていく鮭たちに
人間の業を見せつけられたようで、
胸の痛くなる光景でもありました。

「豊穣の秋」という言葉がありますが、
北海道で見た鮭を巡る光景はまさにそれだったと思います。
どれも厳しくも豊かで、生命力にあふれていました。
この生命のサイクルが途切れず、来年もまた鮭が川に戻り、
豊穣の秋を彩ってくれるといいな、そう思ったのでした。

【オマケ情報】



「鮭沈黙させバット」ですが、似たようなものは
原住のアイヌ民族も使っていたらしく、
最も古いものは約4,000年前の遺跡から出土したそうです。
縄文時代より続く由緒正しきアイテムの末裔です。



Writer:新倉 遊
1988年生まれ。名前を読んで字の如く、
沖縄・奄美・欧州・東南アジアを遊んで周っておりました。
夢は世界一周と自分の宿を持つこと。素潜り大好き。
現在京都ユースホステル協会職員。





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