■ 旅、時々ユースホステル~旅やユースホステルに関するエッセイ~
旅のあれこれ 『バンコク・ナウ』
先日、少し長めのお休みを頂いて4年ぶりにタイに行って参りました。
さすが経済発展著しい東南アジア、
たった4年ですが、ずいぶんと様変わりしていました。
バイクだらけだった道路は大型車が走り回り、
物価は高騰、旅行者と一部の富裕層向けだったデパートが、地元のタイ人で大繁盛していました。
今まさに経済成長する国のパワーに圧倒されつつ、
混沌としたアジア感が少しづつ薄れているのを感じ、さみしい思いもしました。
そんな中で、「やっぱりタイだな」と思える出来事があったので、今回はそのお話。
皆さんは、「スターバンコーヒー」をご存知でしょうか?
バンコクのバックパッカーの聖地、カオサン通りの近くで営業している小さなコーヒー屋台なのですが、
一昨年後半のある事件から世界的に有名になりました。
そう、あの世界最大のコーヒーチェーン「スターバックス」から商標権侵害で訴えられてしまったのです。
その理由がこちら。
もう全くフォローのしようがないぐらいアウトです。
これで「独自に考えた」と主張してたんだから恐ろしい。
まあ世界的な大企業が、タイの屋台ひとつに目くじらをたてるのも大人げない気はしますが、
力の差も正当性もスターバックス側が圧倒的だったようです。
結局スターバン側が店名を「バンスター」に変え、双方矛を収める形で和解したとのことでした。
あれから約一年半。
今回バンコクに寄った際、懐かしのカオサンロードを訪ねてみました。
もちろん、件のスターバンコーヒーもといバンスターコーヒーも見に行きましたとも。
もう、さすがタイ人としか言えないかんじでした。
名前戻ってた。
しかも進化してた。
なんですか「スーパー」って。
「スーパー」つければすごいみたいなの、今どき小学生でもやらないですよ。
完全にスーパーファミコン世代の発想です。
というか大丈夫なんでしょうか?
名前が実質戻っているのだから、また本家スタバに睨まれるのでは?
別に関係者でも身内でもないのに、なんか心配してしまいました。
でもきっと、このイージーゴーイングの精神がタイなんだなと思います。
どれだけ経済が発展しても、大きな車に乗るようになっても、
「マイペンライ(気にしない)」と微笑んでくれる、そんな国であってほしいなと思いました。
Writer:新倉 遊
1988年生まれ。名前を読んで字の如く、
沖縄・奄美・欧州・東南アジアを遊んで周っておりました。
夢は世界一周と自分の宿を持つこと。素潜り大好き。
現在京都ユースホステル協会職員。