【協会】旅のあれこれ『ボランチョ・バレンシア』



■ 旅、時々ユースホステル~旅やユースホステルに関するエッセイ~



旅のあれこれ 『ボランチョ・バレンシア』

旅先でのお酒は楽しいものです。
バーで、レストランで、宿で、嗜むシチュエーションは様々でも、人をより解き放ってくれることは間違いありません。
たいして言葉が通じなくても、同じ酒を酌み交わしていると、何故か会話がはずみます。
あとで思い返して、何の言語で通じあっていたのか不思議になるぐらいです。
僕にとって旅とお酒は、決して切り離せないものです。

しかし、そんな素敵なお酒も量が過ぎるとあまりよろしくありません。
楽しいはずの思い出に、ちょっと恥ずかしいエッセンスが加わることも…。

今回はそんなお話。

スペインにバレンシアという街があります。
そう、あのバレンシアオレンジのバレンシアです。
このバレンシアで、3月の中旬に世界中から人が集まる大きな「火祭」が開催されます。

この火祭がまあ海外らしいワイルドさ溢れるお祭りで、
お祭りが始まると、街中に様々なハリボテ人形が置かれます。





これは街対抗になっており、祭りの期間中に人気投票が行われ、
その年の一位の人形意外は最終夜にすべて燃やされてしまいます。

燃やし方がまたワイルドで、中心街全体が文化財級の建物ばっかりなのに、
気にせずガンガン燃やします。




今まで火事はなかったのでしょうか?

さらに祭り期間中は、爆竹をどこで鳴らしてもお咎め無し。
街は朝から晩までそこここで爆竹が鳴り周り、さながら内戦状態。

昼間は子どもたちがかんしゃく玉をパチパチする程度ですが、
夜になると片手ぐらい吹き飛びそうな武器レベルのやつが出てきます。




さて、そんな狂気の火祭。
もちろんシラフでやってる訳ありません。
ほぼ飲みっぱなしでございます。
毎日パーティーパーティー。

そんなことを一週間ほど繰り返して、遂に最終夜。
もちろん街は最高潮の盛り上がりです。

それはもう飲みました。
知ってる人も知らない人も、どんどん輪に加わってきます。



踊り、歌い、時々爆竹。

ああー楽しい、楽しいぞー!





朝でした。

気がつけば宿のベッド。
ぬ、記憶が飛んでいる…。

財布!パスポート!カメラ!

無事でした。よかった…。

とりあえず、昨日遊んでた同宿の人たちに昨日どんなだったか聞いてみることに。

「ああ、途中でどっかに消えて、俺が帰ったら安らかに寝てたよ」
「なんかパレードにまぎれて消えた」
「どっか消えた後、一緒に帰ってきたじゃん。覚えてない?」

とりあえず、一時的に行方不明になっていたことは間違いないようです…。

そうだ、カメラ!

もしかしたら、空白の時間が写っているかもしれません。
さっそく、カメラのデータチェック。



あ、こんな人らいたな。
たしかイタリア人。

なるほど、彼らと一緒にいたのか。



お前は、一体、何をしているのだ。



馬鹿かお前は。



神輿か、お前は。



やめてー、もうやめてー!

どういう経緯かは全く不明ですが、
外国人グループに肩車されている自分。

恥ずかしすぎる。
すっごく楽しそうなのが、余計と恥ずかしすぎる…。

この後、街を離れる前にもすれ違ったスペイン人に
「昨日のやつだ!おもしろかったぞー!」的な声をかけられたり、

次の街をブラブラしている時に、
「バレンシアのあいつだ!」的なことを言われて記念撮影させられたり、
空白の期間中にしでかしたであろう事で、声をかけられることが時々ありました…。
具体的にあと何をしていたのかは、今もって謎です。

お酒は用法、容量を守って正しくお使いください。

ボランチョ=スペイン語で「酔っぱらい」



Writer:新倉 遊
1988年生まれ。名前を読んで字の如く、
沖縄・奄美・欧州・東南アジアを遊んで周っておりました。
夢は世界一周と自分の宿を持つこと。素潜り大好き。
現在京都ユースホステル協会職員。

カテゴリー: ニュースリリース, 旅(ホステリング), 記事/旅紀行   タグ:   この投稿のパーマリンク

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