【協会】旅のあれこれ 『琉球ブラックマーケット』



■ 旅、時々ユースホステル~旅やユースホステルに関するエッセイ~

旅のあれこれ 『琉球ブラックマーケット』



「旅に出ると、自分の常識を覆される」

旅に出ると、必ず「市場」に立ち寄ります。
そこに住んでいる人たちの活気や生活に
触れることができるからです。

市場と言っても様々で、生鮮食品の市場もあれば、
生活雑貨屋や家具、最近ではモバイルに
特化した市場も存在します。

場所によって多種多様、様々な市場を
見てきましたが、最も印象に残った市場が、
沖縄のとある「ブラックマーケット」でした。

僕は大学を出た後、沖縄で撮影関係の
職場の見習いをしておりました。

移住当初はゲストハウスに住んでおりましたが、
やはり自分の空間が欲しくなり、早々に引っ越しを決意。

引越し先は決まったのですが、
いかんせん見習いなので収入が少なく、
家具をそろえるお金がなありません。

困ってゲストハウスのご主人に話をすると、
「知花のベトナム通りでも見てくれば?」との返答。

話を聞くと、地元の人が勝手に物売りをしている
通称「ベトナム通り」と言われる一帯があり、
運が良ければ家電や家具が安く手に入るかもしれない、とのこと。

素人商売だから値段もあってないようなものらしい。

毎週土日に天気が良ければ
朝から昼すぎまでやっている、とのことでした。

東南アジアで幾多の激戦を繰り広げた実力を活かし、
激安家具をゲットするべく、早速
その週末にベトナム通りに向かいました。

ベトナム通りは、嘉手納基地の北東にある
知花という地区の寂れた道を利用して開かれておりました。

フリーマーケットみたいなかんじかな?
と考えていたのですが、予想以上、
というより予想の斜め上をいく怪しさが漂っておりました。









日用雑貨、家具古道具はもちろん、古銭や古いポルノ雑誌まで、ジャンルを問わないバトル・ロワイアル状態。

写真には無いですが、手榴弾のレプリカ(売り手のおじい曰く「多分大丈夫よー」)、
砲弾の空薬莢など、これはいいのか?といった商品もちらほら…。

期限切れの軍用食などもあり、さすが基地の島と思わせる品揃えでした。

雑貨屋のおじいに話を聞くと、いつからかは忘れたが、いつの間にか市場が出来上がったらしいです。

何度か警察の手入れがあったものの、気付いたらまた出来上がっており、事実上黙認状態の無法地帯と化しているとのことでした。

特に元締めがいるわけでもないようで、「あんたもいらないものがあったら売りに来るといいよ」と笑顔で僕に言いました。

一見するとブラックな場所ですが、
よく考えると自然なことなのかも知れません。

売りたい人と買いたい人がいて、取引が生まれる。
取引を多くするために、売りたい人が集まって市を開く。
まさに市場というものの原型を目の当たりにした気がしました。

人が集まり、売り買いがあり、駆け引きを
肌で感じるベトナム通り。
様々な軋轢の中をタフに生き抜く
オキナワンの底力がそこにあったと思います。

青い海やリゾート、月並みな観光地に飽きた方は、
この夏ベトナム通りにデビューしてみてはいかがでしょうか?



Writer:新倉 遊
1988年生まれ。名前を読んで字の如く、
沖縄・奄美・欧州・東南アジアを遊んで周っておりました。
夢は世界一周と自分の宿を持つこと。素潜り大好き。
現在京都ユースホステル協会職員。

カテゴリー: ニュースリリース, 旅(ホステリング), 記事/旅紀行   タグ:   この投稿のパーマリンク

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