■ 旅、時々ユースホステル~旅やユースホステルに関するエッセイ~
旅のあれこれ 『ハノイバイク天国』
「旅に出ると、自分の常識を覆される」
という言葉は、古来から言われております。
異なる世界・異なる文化の世界に足を踏み入れる
ということは、自分が当たり前だと思っていた考えを
改めるきっかけになるのです。
僕がベトナムの首都、ハノイで覆されたのは
バイクに対する常識でした。
東南アジア全土に言えることですが、
バイクの数がとてつもなく多い。
まだ自家用車が庶民の手に届かず、
移動手段のメインがバイクにあるのです。
その中でも、ハノイのバイクの多さは常軌を逸していました。
市街地ではほぼ24時間バイクのクラクションが鳴り響き、
道という道にバイクが溢れかえっています。
それだけの台数ですから、当然個性的かつ斬新な
バイク使い達をたくさん見かけます。
もう開放してやれよ…なものや▼
ハラハラするもの▼
過積載▼
積載物▼
さらにどうやら道交法がうまく機能していないらしく、運転マナーは皆無。
スピード違反・信号無視・逆走(しかも国道)・煽り行為など、
日本なら5分で免停レベルの違反がゴロゴロしています。
そんな状態なので、当然事故も多数起こっているようです。
僕も目の前で事故を目撃しました。
曲がるバイクに直進するバイクがぶつかるという
ありがちな事故でしたが、この解決方法がまた異例でした。
被害者バイクが軽く転んだ状態の時点で、
加害者バイクの運転手がおもむろに財布を取り出しました。
次の瞬間10万ドン(600円ぐらい)を被害者に手渡し、出発。
被害者も起き上がり、何事もなかったように出発。
世界最速の示談が成立した瞬間でした。
そんなバイク天国、いやバイクカオスな街、ハノイ。
バイク好きな方は是非挑戦してみて下さい。
新世界が待っています。
Writer:新倉 遊
1988年生まれ。名前を読んで字の如く、
沖縄・奄美・欧州・東南アジアを遊んで周っておりました。
夢は世界一周と自分の宿を持つこと。素潜り大好き。
現在京都ユースホステル協会職員。