【協会】オランダ滞在記 vol.7


■ 旅、時々ユースホステル~旅やユースホステルに関するエッセイ~

『はじめてのバケーション~その3』
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▲モンマルトルの丘にあるカフェ

華やかなパリの町を歩き、
モンマルトルの丘を登り、
サクレ・クール寺院を訪れた後、
丘の中腹にあったカフェで小休止。

ビールを飲み、暮れゆくパリの街を眺めつつ
自分はこんな優雅な時間を過ごしているが、
今頃仕事場は忙しい時間だろうなぁ~と、
ちょっと現実的に考えたのは夕方の6時くらいでした。

そろそろ今日の宿を決めなければと
探しはじめたのですが、ここで大ピンチ。

ぶらっと旅に出た人にはありがちなんですが、
どこの宿へ行けども行けども満室。

その内に尿意に襲われはじめ、正に「泣きっ面に蜂」。

『あぁ、こんな事なら仕事をしている方が快適だ』
などと、自らのバケーションを台無しにする気持ちすら
芽生えはじめた頃、やっとの思いで空室の宿を発見!

一泊120ユーロ(日本円で約18,000円)!!
普段余裕がある時は全く見向きもしない値段ですが、
この時ばかりはとにかくトイレに行きたい一心で即決。

部屋に飛び込み用を足してようやくホッと一息。
しかしながら冷静に考えると、
いくら町中の公衆トイレがどこにあるのか
知らないとはいえ、ファストフード店にでも入れば
50セントくらい(日本円で約75円)でトイレに入れます。

『なんともったいない事をしてしまったんだ。』
と、今更ながら悔やまれました。

そんな時に、ふと部屋の窓の外へ目をやると、
そこにはキラキラと光る夜のエッフェル塔の姿が。


『あぁ、今自分はパリにいるんだ。』
という事に改めて気づかされ、徐々にクールダウンする私。

そして多少の出費ではありましたが、
逆に普段泊まることのないこの宿を楽しもう、
と思い直すのでした。

その後、再び夜の帳が下りるパリの町へ
食事に出掛けたのでした。
(終わり)



Writer:出口就平(Deguchi Shuhei)
1974年生まれ。
2007年〜2010年オランダ、デン・ハーグに滞在、
和食レストランにて調理に従事する。
現在宇多野ユースホステル調理担当。

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