■ 旅、時々ユースホステル~旅やユースホステルに関するエッセイ~
大学生による海外ユースインターン帰国リポート
~オーストラリア・シドニー Railway Square YHA~前編
本エッセイは私が2019年8月下旬~9月上旬、オーストラリア・シドニーの
Railway Square YHAにて学生インターンへ参加した際のリポートです。
オーストラリアのユースホステルならではの事情、
そして2週間の滞在で垣間見た「移民の国」の日常をお伝えします。
(写真は特記のない限りすべて筆者撮影)
滞在都市:オーストラリア・シドニー
滞在日数:2週間
インターン先:Railway Square YHA (YHAはYouth Hostel Associationの略)
第1章 インターン生の仕事から見えてきたもの
第2章 日本人スタッフとして
第3章 滞在者として
第1章 ~インターン生の仕事から見えてきたもの~
皆さんは「ユースホステル」(以下ユース)がドイツ発祥なのはご存知でしょうか?
それも100年以上前のことです。
詳しい説明は割愛しますが「青少年少女に安全で安価な宿泊施設を!」
と始まった「ユースホステル運動」は世界中にひろがり、
今では日本を含む約80の国と地域に3600ヶ所の宿泊施設を有する
世界的ネットワークを形成しています。
ちなみに本部・国際ユースホステル連盟はイギリスのロンドン郊外にあります。
(一部日本ユースホステル協会HPより引用・修正)
今回滞在した「Railway Square YHA」は
「YHA Australia」によって運営されているユースホステルです。
その特徴的な施設から世界的に有名なユースホステルのひとつで、
世界中から多くの旅行者が集い滞在しています。
▲外観からは一見特徴的な施設には見えないが・・・。
なぜ特徴的なのか?地図から探ってみよう。
▲赤い矢印がユースホステルの位置。勘の鋭い方はお気付きかもしれないですね。
・・・そう。ここは「駅の中にあるユースホステル」なのである!
シドニーのまさに中心部、「セントラル駅」内にある本施設は
「Railway Square」の名の通りかつての駅のホームを改装して誕生したユースホステル。
建物内部に入るといかに特殊なユースホステルかがわかります。
▲客車を再利用。足元にはレールが敷かれています。
(2枚目はRailway Square YHAのbooking.comより引用)
客車内部は普通のユースホステルとさほど変わらない造りですが、
この外観だけでわくわくする人も多いと思います。
廃線になった路線を利用しているため、
半透明の仕切りをはさんで向こう側は現役の駅とホーム。
多くの路線が集中しているため、ひっきりなしに人が移動しているのがわかります。
▲すぐそこに列車が・・・。
最初の倉庫のような建物内部はこんな感じ。
こちらに部屋の大部分が集まっている他、
レセプションやキッチン、広々とした共有スペースなどがあります。
今回はここでインターン生として仕事をしました。
主な内容はレセプションや清掃、併設されているカフェのスタッフでしたが、
それらの仕事体験からこの国ならではの事情が垣間見えてきました。
バックヤードの写真は多くあまりお見せできないのが残念ですが、
ひとつ印象深い写真を掲載したいと思います。
これは併設されているカフェの写真。
ここではスタッフとして朝食を提供したりドリンクの注文を受けていました。
写真に映っている彼は日本人のスタッフです。
ここで質問。なぜ日本人がこんなところにいるのだろう?
答えはオーストラリアといえば、な制度が関係しています。
そう「ワーキング・ホリデー」です。
彼はワーキング・ホリデーの制度を活用しシドニーにやってきました。
もともとユースホステルの存在は知らなかったと言います。
そんな彼が働く先としてここを選んだ理由は
「一定時間働く代わりに宿泊費を免除する」という
フリーアコモデーションの制度が存在していたからとの事。
これは彼だけには限りません。他の十数人いるスタッフも同様で、
一部の正式に登用されているスタッフ(それでも数はかなり少なかった)を除いて
皆がワーキング・ホリデー制度を利用した「スタッフ兼滞在者」でした。
彼らはフリーアコモデーションの制度を利用することで
滞在先を得て、ここで定められた時間働いたあとは
各々別の勤務地へと足を運びます。
いくつも仕事を掛け持ちしながら、
彼らはユースホステルを拠点に生活していました。
▼シドニーの「シティ」部(「City&Haymarket」)の家賃の例。
(※$は豪ドル、$1=約74円(2019年12月時点))
(【2018年版】知っておきたい『シドニー中心地の家賃相場』!
シェアハウス探しに必要な知識 http://blog.aus-ryugaku.com/share-house-rent-in-sydney/ より引用・修正)
この制度はここだけに限らず、オーストラリア内にある
多くのユースホステルでも実施されていると思います。
シドニーの家賃は高い。普通に部屋を借りようとすると(例えば共同生活なしのひとり暮らしなら)、
東京で暮らすよりも高くつくという話を聞いたこともありました。(上記枠内参照)
きっとメルボルンなどの他の大都市圏もそうだと思われます。
そのような場合、特にこだわりがなければユースホステルで
「暮らしながら働く」というのはかなり理に適った生活なのかもしれないです。
もちろんワーホリで滞在している点はスタッフ同士共通なので、
そのような背景もあってか皆気の置けない仲のように感じました。
そういう点でも魅力的なのでしょう。
(ちなみに、私が知るだけでもフランス・ドイツなどの欧米圏、日本・韓国の
東アジア圏、インドなど南アジア圏など多くの国から来たワーホリスタッフがいました)
▲スタッフの皆とビーチに行った写真。一応真冬なのだが、
日本の春先ぐらいの気温。(もちろん朝晩は結構冷え込む)
ユースホステルに滞在するのはフリーアコモデーションを
活用したワーホリ滞在者だけではありません。
Railway Square YHAは総ベッド数300近くの大きなユースホステルで、
旅行者や通常のワーホリ滞在者、国内学生の教育旅行での利用の他、
なんと留学生の団体(近辺に著名な大学が複数ある)や
年配者(おそらく国内の、旅行者でない)の利用もあり、
数日の滞在もあれば、留学生やワーホリ滞在者などは数ヶ月~1年近く、
もしくはそれ以上滞在し続けるケースもあるとか。
幅広い年代、国籍の人が滞在するまさに「多様性の塊」の
ようなユースホステルであり、その中でのインターン体験でした。
▲ユース内での「交流イベント」も盛んでした。
(毎週金曜夜のカジノ・スペシャルの様子)
▲「Railway Square YHA」から徒歩5分に位置する「Sydney Central YHA」。
ビル型のユースホステルですが、その総ベッド数は「Railway」をはるかに超えています。
(写真はSydney Central YHAのbooking.comより引用)
以上で第1章を締め括ります。
次回は、第2章~日本人スタッフとして~そして
第3章~滞在者として~をお送りしたいと思います。
大学生による海外ユースインターン帰国リポート・中編
Writer: 大谷 真由
京都の大学のユースホステルクラブに所属。現在大学3年。
「自分の知らない世界へ」をモットーに海外ひとり旅を続ける。
イスラームの歴史と文化が好き。夢はシルクロードを陸路で横断すること。
過去の記事
祈りの国ミャンマー・ぐるっと一周旅/前編
祈りの国ミャンマー・ぐるっと一周旅/後編