■ 旅、時々ユースホステル~旅やユースホステルに関するエッセイ~
旅のあれこれ 『ソシアリスモ・デ・キューバ』
20世紀初頭に発生した「社会主義」という思想は、
その後大いに成長・成熟して、
僕達が生まれる頃には衰退していました。
2015年現在でマジメにこの政治体制を
やり通している国はごく少数かと思われます。
今回、キューバに行った動機のひとつに、
社会主義国を見てみたいというものがありました。
小説や映画の中でしか出てこない、
前世紀の夢物語を追ってみたくなったのです。
今回は、そんな前世紀的な国で見つけた面白いものを色々。
1.車が古い
知っている人もいると思いますが、
未だにキューバを走る車の6割強は50年台のアメ車です。
これはアメリカの経済支配からの武力独立→物不足な社会主義、
という歴史的経緯のためで、とんでもない車がバンバン走っています。
修理・修復を繰り返しているため、
恐ろしい魔改造を施されている車もちらほら。
中にはどう見てもニコイチ車両(二台の廃車を継ぎ接ぎして一台の走る車にすること)な「車たち」も…。
ここまでして使い込むキューバ人の根性も去ることながら、
50年走る車を作っていた当時のアメリカのモノ作り力にも感服です。
ちなみに、最初の方はテンション上がって写真を撮りまくるのですが、
普通に走っているので次第に飽きてきます。
3日目ぐらいになると、トヨタのハイエース見かけた方が
テンション上がる状態になります。
2.物は使い倒す
1で書いたとおり、50年近く物不足なキューバ。
ショッピングセンターや本屋に行っても
棚はガラガラのところが多いです(おまけにエアコン効いてない)
今や日本では珍しくなった刃物研ぎ屋や
キューバならではの「使い捨てライター修理屋」なども。
物不足は問題ですが、物を大切に使う姿勢は素晴らしいと思います。
3.創意工夫
これも物不足から来るものですが、
キューバ人は器用で何でも作ってしまいます。
ハバナ市内には自転車タクシーが大量に走っているのですが、
これもキューバ人独自フォーマットです。
この車のエンブレムも
よく見ると
ブルドッグ!
4.二重通貨
キューバにはなんと通貨が2種類あります。
主にキューバ人が使う人民ペソ(CUP)と
主に観光客が使う兌換ペソ(CUC)
レートは、1兌換ペソ≒1米ドル≒25人民ペソといったところで、
元々は観光客とキューバ人が使うお金を分ける目的だったようですが、
両替所に行けば兌換ペソ↔人民ペソに行けば誰でも両替してもらえるので、
もはや意味をなしているのか微妙な制度なのです…。
しかもキューバ人割と適当なので、値段表に数字しか書きません。
どっちのペソの価格なのかは、モノと値段を見比べて考えるしかありません。
知っててぼったくるキューバ人もいます。
5.人民食堂
キューバでは人民食堂といわれるレストランがあります。
キューバ人向けなので、値段は格安。
ただし…
・エアコンなし
・屋根なし
・イスすらなし
そして
・まずい
なんだよこのパスタ、ミルワームかよ…。
その他、色おかしいハンバーガー屋、
野菜が見当たらないピザ屋など、各種取り揃えてあります。
値段も100円いかないぐらいなので、文句言えんですが。
たった4日の滞在だったので、
認識に間違いもあったかも知れませんが、
僕の見た社会主義国家はこんなかんじでした。
僕のように「違い」を楽しむタイプにとって、
こんな楽しい国は他にないかも知れません。
まだまだ面白いもの見つかられそうやし、
出来れば今年中にもう一回ぐらい行きたいですね。
Writer:新倉 遊
1988年生まれ。名前を読んで字の如く、
沖縄・奄美・欧州・東南アジアを遊んで周っておりました。
夢は世界一周と自分の宿を持つこと。素潜り大好き。
現在京都ユースホステル協会職員。