【協会】旅のあれこれ『4000の島』



■ 旅、時々ユースホステル~旅やユースホステルに関するエッセイ~
旅のあれこれ『4000の島』

旅の話をしていると、たまに「どこが一番良かった?」という質問をされます。
だいたい返答に困ります。
わざわざ旅行に行って、良くないことなどまずないし、
どこもそれぞれの特徴を持っているので、一番など決めきれないからです。

ただ、行き詰まったときや閉塞感を感じるとき、
いつも思い出す場所はあります。

そこに行くには、まずラオスの首都ビエンチャンから夜行バスに乗ります。
向こうには寝台バスなる、横になれる夜行バスがあります。



スペースがないのでベッド二人で一つをはシェアです。
この時はイタリア人の青年が隣でしたが、僕の寝相が悪いせいか朝起きたら本当に嫌そうな顔をしていました。

12時間かけて、やっと中継地点の街に着きます。
ここで、バスを降りた後は業者が手配したミニバンに乗ります。

多分日本で8人乗りで使われていたものですが、向こうでは12人ぐらい乗せます。
物理的に無茶でも載せます。
アジア人の僕でも辛かったですが、欧米人は本当に泣きそうな顔をしていました。
この状態で舗装が誠に残念な道を2時間移動します。

到着した港で一時間ほど待たされ、ようやく迎えの船が現われます。








ここからさらにいまいち信用出来ない船で20分ほど。
欧米人の大半は死んだ目に。

そうしてようやく、シーパンドンにたどり着きます。



ラオス・カンボジア国境にほど近いここには、
メコン川の中に浮かぶたくさんの島に人が住んでいる地域です。
川幅が広すぎて川というより海ですが…。
地名のシーパンドンはラオ語で「4,000の島」という意味があるそうです。




馬鹿でかい滝がある意外は、特に見どころがあるわけではありません。
本当に何もない。

一つ一つが狭い島なので、娯楽も無ければ車もない。
ただ、それが心地いいのです。

くり船で遊ぶ子供や、漁師のおっさんを眺めながら、島をぶらぶらする毎日。




とんでもなくゆるい雰囲気の中暮らしていると、
心も非常に穏やかになってきます。

レストランで料理が30分出てこなくても許せるし、
待たされた挙句品切れでも、まあいいかと思える。

ウエイターのオバハンが床で寝てても笑ってすましてしまいます。

それぐらいの圧倒的ゆるさでした。

明らかにダメ人間に近づきつつあったので、一週間ほどでここを離れましたが、
何かにつけてすぐに思い出してしまう、不思議な魅力のある場所です。

先日、初めてラオスから来たお客さんと接したので、今回はそんな話。



Writer:新倉 遊
1988年生まれ。名前を読んで字の如く、
沖縄・奄美・欧州・東南アジアを遊んで周っておりました。
夢は世界一周と自分の宿を持つこと。素潜り大好き。
現在京都ユースホステル協会職員。

カテゴリー: ニュースリリース, 旅(ホステリング), 記事/旅紀行   タグ:   この投稿のパーマリンク

▲上部へ戻る