■ 旅、時々ユースホステル~旅やユースホステルに関するエッセイ~
『I Spy~6年ぶりのリベンジ~』
もうずいぶん前のバックナンバーにはなるが、
エアーズロックツアーについての旅のエッセイで話は終えていた。
しかし、この話には続きがある。旅は終わっていなかった。
現在、宇多野ユースホステルで働いて4年目。
ここで働いていると、毎日いろいろな出会いがある。
観光であったり、仕事であったりと、目的は様々ではあるが、
それぞれ想いをもって、はるばる宇多野に来られる。
フロントでお迎えして、そして、お送りする。
フロントで立っている時間が一番好きだ。
ある日、いつものようにフロントでチェックインをしていると、
見覚えのある顔のお客様が来られた。
なんと、6年前オーストラリアで友人と参加したツアーで一緒になった人だ。
間違いない、通路を挟んで隣の座席に座っていたあのジェフリーさんである。
「ジェフリーさん!私です!エアーズロックのツアーで会いましたよ!覚えていますか?」
「あーーーー!あのときの!えーーーーーOhhh my God! …※○△ΘйЖ∇∽…」
嬉しいことにジェフリーさんも私のことを覚えていてくれた。興奮のあまり早口になっている。
私も感動のあまり言葉にならず自分でも何を言っているのかわからない。
記憶は一気に6年前にタイムスリップした。
2009年11月16日。オーストラリアのど真ん中、気温は47度の猛暑日。
エアコンをがんがんきかせたバスの中でした物当てゲーム「I Spy」。
たまたまそのゲームの様子を録画していた。
何しろジェフリーさん以外、全員、ネイティブではないので会話がかみ合っていない。
日本に帰国後も、そんなそれぞれが思い思いに話す自由な様子の動画をくすくす笑いながらも、
オーストラリアでの思い出に浸る時間が好きでよく見ていた。
いつもは一人見ているその動画を今回は、
I Spyゲームを提案した当の本人と一緒に見た。
「実はあの時、英語がさっぱり分からずゲームを理解してなかったんだ。
分かったふりしてごめん」と正直に告白した。
すると、ジェフリーさんは、笑いながら、
「Okay!そしたらもう1回I Spyのルールを説明するよ、録画の準備いい?」
とノリノリである。
”I spy with my little eye something beginning with….”
6年前に聞いた懐かしのI spyゲームの決まり文句である。
その動画は、永久保存版である。
Writer:石井美紀(Ishii Miki)
1986年生まれ。大学卒業後、ATJ(Assistant Teacher of Japanese)プログラムに参加。
メルボルンの高校で1年間日本語教師アシスタントを経験後、ワーキングホリデーで滞在を1年延長する。滞在中に、たくさんの人の温かさや大自然の壮大さに魅了され、すっかりオーストラリアの虜になる。トマトソース(ケチャップじゃない)をたっぷりかけたアツアツのミートパイが思い出の味。現在京都ユースホステル協会職員。