【協会】旅のあれこれ『ゴールド・エクスペリエンス・イン・ビルマ』



■ 旅、時々ユースホステル~旅やユースホステルに関するエッセイ~
旅のあれこれ『ゴールド・エクスペリエンス・イン・ビルマ』



素晴らしい状態や富や栄光を表現するとき
「黄金」という言葉を世間ではよく使います。
無論、「黄金」とは純金のことを指すのですが、
純金を実際に手に取ってまじまじと見たことのある人は
意外と少ないのではないでしょうか?

僕も純金見たことはないのですが、
今回の旅で「黄金」としか表現のしようのない、
もしかすると黄金以上に輝いていてかもしれない、
そんな光景に出くわしました。

先月の終わりにすこし長いお休みを頂き、
前々から気になっていたミャンマー(ビルマ)に行って参りました。

周囲には「水島上等兵を連れ戻すために」と伝えておりましたが、
単に往復30,000円というべらぼうに安いチケットが
見つかったことが決定的な理由です。

2013年に軍事政権が終わり、まさに発展の渦中にある都市ヤンゴン。
しかし、周辺諸国に比べると比較的穏やかで、人も暖かかった気がします。






発展はまだヤンゴン中心部でとどまっており、
少し郊外に行くとまだまだインフラさえも
未整備な地域がたくさんありました。

5日間の滞在だったのでヤンゴンを軸に周っていたのですが、
一日だけ遠出をして、ゴールデンロックと言われる
観光名所に行って参りました。

ゴールデンロックへの道程はヤンゴンから約4時間半
バスに乗り、ふもと村のキンプンへ向かいます。

ミャンマーは日本の中古バスが非常に多く走っているのですが、
例によってこのバスも新潟観光バスです。



まさかこのバスも日本随一の豪雪から
平均気温30℃近い灼熱の大地に移籍させられるとは
夢にも思わなかったでしょう。

雰囲気的に80~90年代ごろに使われていたもののようで、
本当に時代を感じます。


さて道中の美しい景色を眺めること4時間半、
ゴールデンロックのふもとの村キンプンに到着です。

田舎町らしいどこか間の抜けた感じがのどかです。
この街をベースに山頂にあるゴールデンロックを目指します。

当初、翌朝の第一便で出発してご来光を拝もうと思ったのですが、
サンセットを観に行くのも一興、と思い
急遽宿のスタッフに聞いてみることにしました。

僕「山頂までのバスは何時まである?」

スタッフ「トラックなら行きも帰りも18時が最終だよ!」

このときスタッフは確かに「トラック」と言っていたのですが、
英語の不得手な人が多いミャンマーです。
勘違いかと思い僕は気にも留めませんでした。

時間は大丈夫そうなので、サンセットを観に行くことに。
頂上は全体がお寺になっているので、膝が出る格好では入れません。
前もって買っておいた伝統衣装「ロンジー」を短パンの上から履き、ターミナルへ向かいます。


ドヤ顔




まさか本当にトラックだとは。
結構新品の日野自動車の4tトラックです。

荷台に絶妙な詰め込み具合で8列座席が作られています。
一列に対し6人が詰め込まれるので、
運転席などを含めると50人以上がトラックに乗車する形になります。

「乗る」というより「載る」という表現が正しい。

どうやら決まった時刻ではなく満員まで
待ち続けるスタイルのようで、待つこと30分。

ようやくMAXまで人が押し込まれ、トラックが出発しました。

5分ほど走ると、道は恐ろしく狭く急坂になっていきます。
猛スピードでアップダウンを繰り返していくトラックの荷台は、
さながらジェットコースターのようです。
TDSのインディージョーンズが延々続いていく感じです。

恐らく、大人数を載せてこの過酷な道を走破するには
トラックでないと不可能なのです。

なにしろゴールデンロックは1,100mの山上にあり、
40分ほどの行程で標高差8~900m程を一気に駆け上がることになります。

かろうじて舗装はされているものの、
普通自動車なら立往生や横転もありうる急坂。

必然、人数を運ぼうと思うと馬力があり
小回りの利くトラックでしかできないのです。

そんなことを思っていると、突如雨が降り出しました。
というよりトラックが雨雲に突っ込んでいった形です。

インディージョーンズにスプラッシュマウンテン(持続型)が
追加され、ますます混乱を極める荷台。

ふもとの村でやたらレインウェア売ってた理由はこれか…。
たまたま自分はマウンテンパーカーを着ていたのですが、
となりの地元のおっさんはワイシャツ一枚です。

もはや前進ずぶぬれで、雨に打たれるまま微動だにしません。
これが悟りの境地というやつでしょうか。

そんな狂気のドライブを経て、ようやく山頂の集落に到達。
道中の後半からかかっていた霧はますます濃くなり、
怪しい雰囲気抜群です。



霧の集落を抜けていくと、寺院の入口につきます。



階段を上ると、少し霧が晴れて開けてきました。
大理石のタイルの上を歩いていくと、それは突如として現れました。



ゴールデンロック。
ほかに表現のしようがないほどにゴールデンロック。

周囲の静寂、霧が何とも言えない神々しさを演出します。
時折雲の切れ間に顔を出す広大な平原が、何とも言えず美しいのです。




折しも時間は夕暮れ時、遠く西から指す斜光が
刻一刻と色を変え、周囲を金色に彩っていきます。





僕はただ無心にシャッターを切っていました。
正直、ここに来るまでガイドブックや
他人のブログの印象から全然期待はしていませんでした。

せっかくだから見ておこう、ぐらいの心持ちだったのです。
こういうことがあるから、僕は旅に取り憑かれているのだと思います。





たまたま知り合った現地ガイドのお姉さん(黒髪ロング美人)曰く、
「ここは来る度にいろんな色の夕暮れが見られるの、でもこんな色は本当に珍しいよ」

僕は思うのですが、はるか昔ここに初めて修行僧がたどり着いたとき、
同じ色の光を見たのではないでしょうか。

その中に宗教的な何かを見出し、ここに寺院を建立し、
この光を再現するため、あの岩を金色にしたのではないか。

もちろん何にもそんなことはどこにも書いておらず、
僕の憶測でしかないのですが。

僕が初めて見た黄金に貨幣価値はありませんでしたが、
その輝きはミャンマーの大地を等しく金色に染め上げていたのでした。



●オマケ
現地ガイドのお姉さん(黒髪ロング美人)と夕陽をバックに記念撮影。
自分が明らかににやけているのが横顔でもわかる。





Writer:新倉 遊
1988年生まれ。名前を読んで字の如く、
沖縄・奄美・欧州・東南アジアを遊んで周っておりました。
夢は世界一周と自分の宿を持つこと。素潜り大好き。
現在京都ユースホステル協会職員。

カテゴリー: ニュースリリース, 旅(ホステリング), 記事/旅紀行   タグ:   この投稿のパーマリンク

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