【協会】旅のあれこれ『羅越国境物語』vol.1



■ 旅、時々ユースホステル~旅やユースホステルに関するエッセイ~
旅のあれこれ『羅越国境物語』vol.1



多分、僕は置き去りにされていました。
周りには日本語はおろか英語もロクにわからないであろう人々。

彼らが楽しそうに食事をとる姿が、
自分の身に降りかかった孤独感に拍車をかけていきます。

2011年1月、
僕は置き去りにされたようでした。

当時東南アジアを旅していた僕は、
ベトナムから国境を経て、
隣国ラオスの首都ヴィエンチャンまで行こうと考え、
寝台バスのチケットを購入しました。

寝台バスとは、寝台列車のバス版みたいなもんで
三列の二段ベッドがすし詰めではありますが、
横になって移動できる便利なバスです。

確かにチケットには
「フエ-ヴィエンチャン スリーピングバス」と書いてあります。
これは「ベトナムのフエ発、ラオスのヴィエンチャン着、寝台バス」という意味です。

間違いなくその寝台バスには乗り、バスは滞りなく発車しました。

しかし、二回目の休憩の時に事件は起こったのです。

東南アジアの長距離バスは片道12時間とかもザラなので、
途中でトイレ休憩も兼ねて、路肩の食堂に寄ることが多々あります。
日本で言う高速のSAや道の駅のようなかんじでしょうか。

食堂でポテチでも買おうかと眺めていると、
バスのおっさんが寄ってきました。

おっさん「おまえ、ヴィエンチャンいくな?」
俺「はい、ヴィエンチャンです(チケットを見せる)
おっさん「よし、ここで降りるんだな」
意味が、わからない。

俺「what?」
おっさん「だからここで降りるんだな」
俺「いやいやいや!ヴィエンチャン連れてけよ!」
おっさん「このバスはハノイへ行くんだな」
俺「いやおまえ何をいっ…」
おっさん「だからお前はここでバスをチェンジするんだな」
おっさん「そのバスが来るまでここで待つんだな」

予想外の展開。
でも確かにバスの他の連中はみんなハノイに行くと言っている。

休憩が終わり、バスへ戻る乗客。
窓からみんなこっち見てる。

最後におっさんが一言
「バスをロストするなよ。お前がロストするぞ!hahaha」
発車するバス。

ドア越しにニヤニヤ笑うおっさん。
窓から気の毒そうな顔で見ている外国人バックパッカーたち。

めっちゃこっち見てる食堂のベトナム人たち。
とりあえずベンチに腰掛け、
買っておいたチューイングガムを口に放り込む。

ベンチ横の売店のお姉ちゃんに
「バス来るの?」って聞いてみると
不思議そうな顔で首をかしげています。
どうやら言葉さえも通じていないみたいです。

時計は12時を指し、既に日付は変わっていました。
ここで僕はようやく理解したのです。
深夜、異国の路肩の食堂に、僕はひとりぼっちで置き去りにされていました。

次回、国境越え編に続く。



Writer:新倉 遊
1988年生まれ。名前を読んで字の如く、
沖縄・奄美・欧州・東南アジアを遊んで周っておりました。
夢は世界一周と自分の宿を持つこと。素潜り大好き。
現在京都ユースホステル協会職員。

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