【協会】旅、時々ユースホステル『僕とオーストラリア』vol.4



■ 旅、時々ユースホステル~旅やユースホステルに関するエッセイ~
僕とオーストラリア vol.4



私のオーストラリアでのワーキングホリデーは
前回の記事でお話ししたPrestonという場所での
ホームステイから始まりました。

そこでワーキングホリデーの滞在の半分の時間を過ごしたのですが、
「ホームステイは食事を作ってもらえるけど家賃が高い!
せっかく外国に来たので他の場所でも生活したい!」
と思い立ちホームステイからシェアハウスへ引っ越ししました。

日本語で閲覧できるメルボルンの情報サイトを駆使し、
日本人女性がオーナーのシェアハウスに電話をかけました。
その後は家の見学や手続きがトントン拍子で進み、
すぐに入居が決まりました。

シェアハウスのあるBalaclavaはメルボルンの中心から南にトラムで20分、
電車で5分ほどの場所にある町で、St. Kilda Beachからも近く、
周囲にはおしゃれなカフェが立ち並ぶ落ち着いた雰囲気のある町です。

恥ずかしながら当時21歳の私は
コーヒーの美味しさが分かっていない子供で、
メルボルンはコーヒーが美味しい街!という話も
帰国してから人に言われて知ったほどでした。

特にBalaclavaはカフェ激戦区だったそうで、
そこでコーヒーを飲まずに生活していたことを
いろんな人に怒られました…

そしてシェアハウスに移るとほぼ同時に
なんとアルバイトのオファーが!

ハウスメイトの日本人の方が近くのカフェで
週に二日ほど働いていたのですが、土曜日が人員不足で、
その日だけ働いてくれる人を探していたとのことでした。

ちょうど私も外国で働く経験がしたいと思っていたので
願ってもないチャンスでした。
後日、早速そのカフェに行き、オーナーさんと
面接をしたらその場で採用が決まり、
その週の土曜日から仕事が始まりました。

スムーズに話が進みすぎて少し怖いくらいでした。
といっても誰もが憧れる洒落た外国のカフェでの接客や
コーヒーを淹れるようなことを何の知識もない
田舎者の私がさせてもらえるはずもなく、
最初から聞かされていた仕事内容は
ディッシュウォッシャー、つまり皿洗いでした。

朝の7時にカフェの裏口から入りスタッフのみなさんに
挨拶と自己紹介をして厨房に入ると見えたのが、
左手に6口くらいある大きいコンロ、正面に調理台、
右手に洗い場がキチキチに詰まっている狭いキッチンでした。

左手のコンロにはスキンヘッド巨漢のDavid、
正面の調理台にはインドネシアからの陽気な留学生Wooden、
そしてその横で止むことなく運ばれてくる食器をひたすら洗う私、
というのが毎週土曜日の勤務風景になりました。

仕事は朝7時から夕方6時までの11時間。
「休憩はテキトーにとってくれ」と言われましたが、
止まらない食器の大群を相手にいつ休憩を取ればいいのか
四苦八苦していると、それを見かねたWoodenがお昼頃になると
「イクトサ~ン、What do you wanna eat?(何か食べたいか)」と
聞いてくれるようになり、とても助けられました。

初めて聞かれた時に、「お勧めは?」と聞くと
出てきたのが…今でも忘れはしません。

その名も「ハロミバーガー」。

形はハンバーガーなのですがお肉は一切使われていません。
パンの間に挟まっているのは数種類の野菜とハロミと
呼ばれる謎の食材とのこと。

「ハロミって何?」と聞いて
「チーズやで。オーガニックなハンバーガーやで」と
返ってきた時は肉なしのチーズバーガーか…
とちょっとガッカリしましたが、
いざ目の前に出されると…デカい。

写真を撮らなかったことを今ここに
書きながら後悔しています。

イメージ:引用元Google


イメージは薄く小さいですが私が食べたものは
これよりも数倍大きく分厚かったです。

外国サイズなのでそもそも見慣れない
大きさなのは分かりますが、
肉が入ってないのにこの大きさか!というのと、
やはり全体の大きさよりも目に留まったのが
ハロミチーズの分厚さでした。

測ってはいませんがだいたい3cmか
もう少しはあったと思います。
見た目は「はんぺんがパンに挟まれている」ような感じでした。

これは…大丈夫なのか?と少し疑いながら食べてみると…
これがとんでもなくおいしいんです!

本当にチーズしか入っていないのかと思わせるジューシーさ、
歯ごたえ、味!食べた瞬間肉汁が出てくる!と
錯覚するほどジューシーでした。

パンと野菜もそれぞれがチーズの味や香りを引き立て、
それでいて全くしつこくない、
一般の肉が入ったハンバーガーとは全く別物でした。
お肉を食べられない人もこれがあれば幸せになれることでしょう。
お肉大好きの私でさえ「お肉の時代は終わったのか」と思うほどでした。

食べ終わるまで日本語で「あぁ…めっちゃうまい…」と
一口食べる毎につぶやいていました。

私はその感動をWoodenとDavidに伝えようとするも
「It’s delicious! It’s awesome!」 などの一言でしか言い表せず、
二人には私の感動があまり伝わっていないようだったのが
非常に残念でした。

英語をお勉強されている皆様、こういう時のために
何かを褒める形容詞やイディオムを覚えておくと
きっと役に立つことでしょう。

そんなこんなでおいしいものを食べながら
多忙の土曜日を働き抜き、オーナーのMaryさんから
給料とその日の売れ残りのパンなどをもらって帰ってゆくのでした。

そして給料もらいたての私は調子に乗って
近所で豪遊するのでした。

スーパーで、普段高くてあまり買うことのない
Tボーンステーキを2枚も買ったり、
夜になると10ドルまで値下がりする
チキンの丸焼きを買って独り占めしたり、
近くのSt.Kilda Beach周辺のお店で
キングサイズのフィッシュ&チップス
(20$~30$、日本円で約2~3千円と結構お高いです…量もすごいですが。)と
ビールを買ったり、とてつもない甘い香りがする柔軟剤を買ったり…し、
しょうもない…とお思いかもしれませんが、これが近場でできる私の豪遊でした。



あらゆることを近場で済ませていて、
そのお金でいろんなところに行けたな、
と今では思います。

もちろんその後すぐにその考えに至り、
稼いだお金を少しずつ貯めて
ゴールドコーストやケアンズに
旅行に行くのですがそれはまた次回にお話ししましょう。


Writer: 吉村伊久人(Yoshimura Ikuto)
1992年”ギリギリ京都市”の異名を持つ僻地、山科区生まれ。
オーストラリアでの一年のワーキングホリデーを通して旅に目覚めました。
様々な場所から京都に来られる人をもてなす仕事がしたかったので
現在宇多野ユースホステルのスタッフとして働いています。

過去の記事
僕とオーストラリア vol.3
僕とオーストラリア vol.2
僕とオーストラリア vol.1

カテゴリー: ニュースリリース, 旅(ホステリング), 記事/旅紀行   タグ:   この投稿のパーマリンク

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