【協会】旅のあれこれ『羅越国境物語』vol.2 国境越え編



■ 旅、時々ユースホステル~旅やユースホステルに関するエッセイ~
旅のあれこれ『羅越国境物語』vol.2 国境越え編



~前回のあらすじ~
ベトナムからラオスの首都ヴィエンチャンを目指し、
寝台バスのチケットを購入した僕。
しかし、バス会社を信頼した事が誤りでした。
気づけば僕は、深夜の国道沿いの食堂に置き去りにされていたのです。
http://yh-kyoto.or.jp/?p=10179


人間は事が起こってしまえば案外冷静になれるものです。
僕は目の前を行き交う車を見ながら、
ぼーっと音楽を聞いていました。

単調な風景に4つ打ちの電子音がなかなかしっくりきます。

バスが来ると言った以上、来るのだろう。
来なくても最悪ここで夜明かしして、
朝になってから適当なバスでも捕まえればいい。

海外にしばらくいると、
自分でもびっくりするぐらいおおらかになることがあります。
いいか悪いかといわれればわかりませんが、
少し面白くなってしまうのは事実です。

そんなことを考えながら待つこと30分。
一台のスリーピングバスが入って来ました!

ついに来た!
僕は荷物に手をかけて担ごうと思いましたが、どうにも様子がおかしい。

するとバスの戸が開き、3人の人間を降ろして行ってしまいました。
降ろされた人々は戸惑いながらこっちに歩いてきました。
かなり大柄かつふくよかな白人女性×3人

女性「ねえ、バスはいつ来るの?」
僕「知るかよ。僕も客だし」
女性「ソーリー!あなたもラオスに?」
僕「そうすね」

彼女ら、そうやら僕をベトナム人と勘違いしていたようです。
全く失礼な連中です。

話を聞いていると、
三人はオーストラリアから来た三姉妹だそうです。

ああ、どうりでマトリョーシカのごとく似ている訳だ。

彼女らはベトナム最北部のサパという山岳地帯で
トレッキングをしようと思っていたらしいですが、
その年の異常な寒波で3日間全くに宿から動けずに帰ってきたとか。

一般的にベトナムは暑い国だと思ってる人が多いと思いますが、
北部へ行くと冬はしっかり冬です。
実際、僕もハノイではフリースが手放せませんでした。
サパは中国国境にも近いので、時期によっては雪も降るのです。

そういえば泊まっていた宿のテレビで
「SAPA FREEZING」というニュースやってたなぁ…。

ベトナムの深部で自分よりさらにひどい目にあってた彼女らに、
少しだけ勇気をもらった気がしました。

さらに待つこと30分。
一台のバスが僕らの前に停まりました。



これがまた過去最高にボロい。
ここまで来る道中で核戦争でもあったのかってレベルでして、
前部のドアが完全にバカになっていて横揺れで
開いたり閉じたりを繰り返しています。
てかなんで走ってんのか不思議。

その時、すごく嫌な予感がしたんですよ。
スリーピングバス予約しているんですが、
もしかするとこれでラオスまで連れて行かれるんじゃないかと。

いや、そんなはずないんですよさすがに。

バスのおっさん「ヴィエンチャンー!ヴィエンチャンー!」
完全にこっち見て叫んでいます。

どうやら僕と大柄三姉妹は、
そのバスに乗らないとラオスにはたどり着けないようでした。

僕「おっさん!スリーピングバスのチケット買ったんだぜ?」
おっさん「知るか!乗れ!」

こうなったらゴネても無駄です。
ベトナムでは騙されたら負けなのです。

現地のおっさんおばはんを満載したバスの中で何とか空席を確保し、
大柄三姉妹と決してここでは書けないような罵りイングリッシュを囁きながら、
仲良く国境を目指しました。

2時間後。
バスが停まりました。時刻は4時半です。

おっさん「国境に着いたけど、ゲートオープンが7時だからここで待つ!」

もうどうにでもしてください。
てか高地だからか異常に寒い。
しかもいたるところ隙間だらけなので、風が結構入ってくる。

外を見ればこんな景色。



そら寒いわ。
おまけにガソリンの節約なのか、エンジン切りやがった。

僕「寒いからエンジン切るなよ」
おっさん「…」

ついに無視。

また三姉妹と呪いの言葉をつぶやきながら、眠る努力に入りました…。

約三時間、ようやくゲートがオープン。
ベトナム側国境でがきデカみたいな帽子被ったおっさんに
パスポートと賄賂(1ドル)渡して、ようやく出国完了。
続いてラオス側国境でがきデカみたいな帽子被ったおっさんに
パスポートと賄賂(2ドル)渡して、晴れて初の国境越えを終えました。

社会主義国の軍人の帽子ってなんであんなに不自然にでかいんでしょうね。
謎です。
当然のごとく賄賂を請求してきますが、アジアのマイナー国境ではよくあること。
もはや驚きもしません。

満身創痍でようやく入国を果たした未知の国、ラオス。
思えばベトナムでの10日間はひどい目に遭い続けたな…。

身体を固いシートに預けながら、
ラオスではいいことありますように…と願うばかりでした。

次回、最終話に続く。



Writer:新倉 遊
1988年生まれ。名前を読んで字の如く、
沖縄・奄美・欧州・東南アジアを遊んで周っておりました。
夢は世界一周と自分の宿を持つこと。素潜り大好き。
現在京都ユースホステル協会職員。

カテゴリー: ニュースリリース, 旅(ホステリング), 記事/旅紀行   タグ:   この投稿のパーマリンク

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