【協会】旅のあれこれ『羅越国境物語』vol.3 編 ラオス入国編



■ 旅、時々ユースホステル~旅やユースホステルに関するエッセイ~
旅のあれこれ『羅越国境物語』vol.3 ラオス入国編


~前回のあらすじ~
ベトナム人にまんまと騙された僕とオージー三姉妹は
廃車に近い満員のバスに揺られ、満身創痍でラオス入国を果たしたのであった…。
http://yh-kyoto.or.jp/?p=10191


バスはどんどん山道を下っていきました。
それに連れて疲れ切っていた僕の心にも、少しづつ旅のワクワク感が戻ってきました。
それは、霧が晴れて雲一つない青空を拝めたからでした。

ベトナムにには十日ほど滞在していたのですが、
冬の北部ベトナムは思った以上に寒く、
ずっと気が滅入るような曇天が続いていました。
現地の人もダウンやフリースを着ているような気温だったのです。

それに加えてベトナム人特有のがめつさやぼったくりの嵐に、
正直少し疲れてしまっていたのでした。

その疲れも吹き飛ぶような空の青さが、
ラオスという未知の大地への期待を膨らませるのでした。


▲日本語のコンテナ発見


▲雑穀干し


▲素晴らしき青!

朝までは凍えるほどの寒さでしたが
海抜が下がってきたせいか日差しのせいか、
気温がどんどん上がってきます。

最後には長袖シャツにジーンズ、
足元はサンダルというラフな格好になっていました。

時刻はお昼に差し掛かり、
バスは道端の食堂に入って行きます。

そういえば昨日の夜から
ピーナツ以外何も食べていません。

ラオス入国記念にがっつり食ってやろう。
そう意気込んでバスから降りた瞬間、まずい事を思い出しました。

ラオスの通貨を持っていないのです。

通常なら国境で多少両替ををしておくのですが、
入国審査に僕だけ妙に時間がかかり、
両替する暇がなかったのです。

そうだ!三姉妹に借りよう!と思ったのですが、
三姉妹は自分達のバックパックから
コーラとポテチを取り出して食べ始めていました。

食堂の不衛生さからなのか
自分達の好みのメニューがないのか、
ぶつぶつ文句を言っていて
とても金を借りる雰囲気ではありません。

我慢しようにも腹の虫はおさまらず、鳴る鳴る。
何よりも眼の前でラオス人たちが
美味しそうに料理を平らげています。

どうしても飯が食いたい。
なんとか手持ちのドルで食わせてもらおうと思ったのですが、
食堂の誰も英語を理解できず、ジェスチャーも伝わりません。

仕方なくバスの運転手に訴えたのですが、
こちらもあまり英語を理解できず、
肝心のところが伝わりません。

何とか伝えようと食い下がっていると、
運転手は仕方ない、といった感じで
「着いて来い」と俺に合図しました。

運転手は食堂の少し奥まった場所にある
大きな円卓に近づいていきます。

その円卓ではラオス人の集団が飯を食っていました。
円卓には様々な料理。
運転手はその中で一番偉そうな男にラオス語で何か話し始めました。

このラオス人たちが明らかにガラが悪い。
刺青も数人いるし、偉そうな男は
金縁のレイバングラスをかけてこっちを睨んでいます。

普通にしてたら100%関わり合いになりたくない方々です。

すぐに話しは着いたようで、
椅子を一つ用意して「座れ」と俺に促しました。

え?この集団入るの?

しかしここまで来たら引き下がれません。
俺は恐る恐る席につきました。
全員がこっちを見ています。

レイバン「飯が食いたいのか」
俺「はい!めっちゃ食いたいです!」

俺は日本語、向こうはラオス語でしたが
ジェスチャーを交えていたので不思議と通じ合っていました。

レイバン「よし食え!全部食え!」
俺「う、ういす!」

とりあえずご飯をよそい、手近にある魚料理に手をつけました。
みんながこっちを見ています。

恐る恐る一口
これがバカ美味い!
素朴な味付けですが、癖のないさっぱりした味わいでした。

俺「これマジ美味いっす!」
ここで初めてみんなが笑顔になりました。
なんや、めっちゃええ人たちやん。

そこからどんどん料理に手を付けて行きました。
どこの国のおっさんもよく食う若者は好印象なようで、
みんな次々に料理を薦めてくれます。

俺は嬉しくなってガツガツと食いました。

レイバン「お前はどこから来たんだ?」
俺「ジャパン!」

みんなが怪訝な顔をしています。
ジャパンがわからない様子。

俺「ヤパン!ジャポン!ハポン!ヤーポン!」

通じていない。

俺「ハーポン、ヤーポン…日本!」
レイバン「おお!ニープンか!」
ラオスでは日本の事をニープンというようです。

そんなこんなで3杯もご飯をおかわりしたら
お腹がいっぱいになってきました。

俺「満腹ですわ-」

レイバン「何!?もっと食え!」
俺「いやいやけど」
レイバン「あと3杯食え!食わないと首を切る!」

レイバンそれちょっと笑えないよ。

まさか首は切られないとは思いましたが、
彼らの好意を裏切るのもなと思い、
勢いでさらに3杯をかきこみました。

俺「もう無理すわw」
レイバン「よし、許してやる」

みんな爆笑。
楽しい食事の時間でした。

お金をいくらか払おうと思ったのですが、
レイバン「いらん。俺はニープンが好きだからだ」

渋すぎるぜレイバン。
みんなに丁重にお礼を言い(日本語ですが)
バスから手を振って別れました。

バスは夕刻前まで走り続け、
ようやく首都ヴィエンチャンにたどり着きました。

長かった…。

僕はさっそく雄大なるメコンのほとりに腰を下ろし、
珍道中を思い出しながら、メコンの夕陽とビールを楽しむのでした。



ベトナム→ラオス国境珍道中 完



Writer:新倉 遊
1988年生まれ。名前を読んで字の如く、
沖縄・奄美・欧州・東南アジアを遊んで周っておりました。
夢は世界一周と自分の宿を持つこと。素潜り大好き。
現在京都ユースホステル協会職員。

カテゴリー: 旅(ホステリング), 未分類, 記事/旅紀行   タグ:   この投稿のパーマリンク

▲上部へ戻る